タスマニア旅行記
はじめに
ずっと前から、一度行ってみたいと思っていたタスマニア。ついに2000年最後の旅行で行くことにした。

タスマニアは、日本を、赤道を境に南半球に折り返すと、ちょうど北海道あたりに来る。大きさも北海道くらいで、なんとなく形も似ているような???!(どこが?!)

オーストラリアには珍しく、温帯の山岳地帯があるので、ハイカーにとても人気のある場所だと聞いた。さて、年末年始、しかもキリスト教の国では2000年の年末こそが世紀末!ということで、宿などの予約が取れるかどうか不安であった。でも、強力な助っ人の登場により、いとも簡単、しかもかなりお得な旅行手配ができたのだった。

今回ははじめてのタスマニアなので、ぐるっと一回りしてみることにした。

予定では、最初シドニーから入って、メルボルンで3泊、その後、タスマニアに渡って、島内をレンタカーで一周する。その後、シドニーに戻って、世紀末を過ごし、帰国することになっている。

 

第1日目
日本からのオーストラリア便の多くは夜発である。我々の飛行機もそうだった。というわけで、うちを午後ゆっくり出かける。

夜8時発の飛行機で、機中泊。前回、オーストラリアに行ったときに、行きの飛行機で寝られなくてまいってしまったのを思い出す。今回はどうなることやら?!

 

第2日目
朝早くにシドニーについた。やはり機内ではいまいち寝られなかった。どうも夜便は嫌いだ…

シドニーの空港にはかなりひとが多かった。当然ながら、クリスマス休暇を取るオーストラリアの人々もたくさんいた。どうやらケアンズなどのビーチに行く人が多いようだが…

我々の乗り継ぎ便も、定刻でメルボルンに着いた。でもメルボルンの空港への着陸はかなり揺れた。浜風が強いようだ。

空港から市内へは、タクシーを奮発!寝不足+飛行機が揺れたせいで、ちょっとグロッキーだったのだ。

メルボルンの宿は新しく出来たウェスチン・メルボルン。これまた、UAのホテル半額券利用である。ロビーは閑散としていた。クリスマスにメルボルンに来るひとなど、そんなにいないのだろうか?!

部屋はシドニーのウェスチンに似ている。国内ならば、福岡のグランド・ハイアットに内装は似ているかもしれない。コンテンポラリーである。

シャワーがかのへヴンリー・シャワーだった。森の中で夕立にあったら、こんな感じの雨の降り方かなあ???と思うようなシャワーである。シドニーのウェスチンにもあったが、我が家のお気に入りのひとつ…

結局、寝不足を解消すべく、風呂に入って、昼寝をしてしまった。

夕飯もホテルで軽くすませて、引き続き爆睡…

 

第3日目
朝ご飯を食べた後、メルボルンの街を観光&散策した。行った場所は、旧監獄、メルボルン博物館、ビクトリア州ナショナルギャラリーなどなど…

旧監獄は、3階建ての内部が吹き抜けになったつくりであるが、房などが保存されており、どんな囚人が入っていたかなどが、パネルで説明されていた。でも、どうも暗い雰囲気…(あたりまえか?!)

メルボルン旧監獄の吹き抜け。

メルボルン博物館は新しく出来たらしく、まだ半分くらいしか展示が見られない。でもオーストラリアの自然や動植物についての展示や、雨林のしくみなど、実体験コーナーもあり、なかなかおもしろかった。地元の家族連れもかなり来ていた。

この日も夕飯はホテルで簡単に済ませて、そうそうに寝た。明日はグレート・オーシャンロードへの一日ツアーに参加するつもり…

 

第4日目
朝起きると、かなり涼しい。しかも、天気がいまいちである。よりによってこんな日にエクスカーションとは!

グレート・オーシャン・ロードはメルボルンから西の海岸線を走っている道のことである。道沿いの海岸が風光明媚な場所らしい。

クリスマスにもかかわらず、こんなツアーに行くひとがかなりいて、びっくりである。バス3台が満員だった。乗ったバスが悪かった(?)のか、うしろから2番目の、しかも通路をはさんだ2席しか空いていなかった。しかたがないので、その2席に座る。

行きは結局、朝早かったので、最初の休憩地点まで寝てしまった。休憩地点ではモーニングティーとおかしが出た。

再び出発すると、海岸線はだんだんと異様な形になってきた。すると、ここぞとばかりに!残念ながら天気も荒れ模様。雨まで降り始めて、景色もへったくれもない状態。

それでも、雨が小降りになったのを見計らって、12使徒の岩や、オールド・ロンドン・ブリッジなどを見に行った。

ツアーは最後にポート・キャンベルの町によって、メルボルンにもどった。かなり距離を走るツアーで、ちょっと疲れてしまった。帰りのバスの中では、ほとんどの参加者が寝ていた。

この日は夜、ホテルのレストランでのクリスマスディナーを予約してあった。ツアーの帰りが少し遅れて、予約時間をすぎてしまったけれど、ちゃんとテーブルを確保してくれていた。

メニューは前菜がシーフードのビュッフェで、メインは3種類から選べるようになっていた。ワインは予習もかねて、タスマニアの赤ワイン。デザートも食べて、大満足だった。

 

第5日目
移動日である。メルボルン、ホバート間の飛行機は思ったよりも小さい。しかも満席だった。

今日は天気がましのようで、あまり揺れずに離陸、フライト中もほとんど揺れなかった。

さていよいよホバートである。シドニーやバンクーバーに比べると、かなり小さい港町である。でも飛行機から見えた海の色が独特だった。青緑に白をたしたような?!

空港でレンタカーを借りる。思ったよりも大きな車だった。でもオーストラリアは日本と同じ右ハンドルなので、少しは気が楽である。

今日は初日にもかかわらず、かなりの距離を走る予定。地図で道をチェックしてスタート。

予定では、ホバートから西に走って、クイーンズタウン(どこにでもあるこの名前)を抜けて、西海岸のストローンまで行く。

道はかなりわかりやすく、あまり車も走ってないので、楽に運転することができた。途中、サンクレア湖国立公園に入ったあたりから、またまた無情の雨!である。

このあたりから、雨林が美しい世界遺産指定地域になる。入り口にでっかい碑が立っていた。

フランクリン・ゴードン川国立公園入り口の碑

国立公園を抜けて、クイーンズタウンの手前あたりから、それまでとは全く違った風景。はげ山ばかり!この辺は鉱山で栄えた場所で、そのときに掘り返したぼた山がそのまま残されているし、山の木はすべて、精錬工場で使われてしまったので、1本も残っていない。

色の変わった山肌がなんとも不気味な様相を呈している。さっきまでの緑豊かな国立公園とはあまりにも違いすぎる。

そんなはげ山のくねくね道をストローンの街まで一気に走り降りた。

ストローンも港町であるが、本当にはずれの小さな港町である。この日の宿はストローン・ヴィレッジ。港からちょっと入った丘の上にあった。

なれない道の運転でちょっと疲れてしまった。夜はホテル付属のレストランで、イギリス人のじいちゃん、ばあちゃんの団体さんと一緒にビュッフェをつついた。

 

第6日目
今日はタスマニアのメインイベント!ゴードン川クルーズである。このクルーズはかなり人気があるらしく、助っ人さんが予約を先にしておいたほうがいい!というので、かなり前にしてもらった。

船はオーストラリア独特の二艘になった喫水のかなり高いものである。切符売り場で、名前を言って切符をもらう。横のみやげもの売り場では、ロゴ入りのヤッケなどが売られている。雲行きが怪しかったので、カッパを買った。

船は予定通りに出港。まずはマッコーリー湾の入り口まで行く。この湾の入り口はかなり狭く、その名もヘルズ・ゲート。湾の中と外では信じられないくらい、水の色が違う。

その後、湾内にもどって、ゴードン川に入ると、だんだんと川幅が狭くなってくる。水の色は茶色。これは雨林のバクテリアのせいで、汚染ではなく自然の色なのだそうだ。

まわりがだんだんと深い森になっていく。温帯雨林だ。

船で入ることが許されてる最終地点にヘリテージ・ランディングがある。ここで船を下りて、少しだけれど、雨林の中が歩けるのだ。

ヘリテージ・ランディングから少し歩いたところの雨林。

これは本当に感動!熱帯雨林もすばらしい&好きだけれど、温帯雨林もいい!苔むした森にどうも弱いのだ。もっと歩きたいよ〜!と、後ろ髪惹かれる思いだったが、船に戻る。置いていかれても困る…

このあと、湾内にもどって、サラ島の監獄跡地を見学する。サラ島はオーストラリアの流刑地タスマニアのなかの流刑地だった。つまりここが最終地なのだ。今でこそ、温帯雨林に囲まれて、平和な雰囲気が漂っている島だけど、かつてはここに送られるということは死んだも同然だったらしい。

サラ島の大きなしだの木。

島の見学後、ストローンの街にもどった。我々は今日はこの後、さらに走ってモイナというところまで行く予定。かなり強行軍だけど、がんばる!

来たときとは違う道で街を出る。今度はひたすら北上。クレイドル山国立公園をめざす。

天気がよくなって、山が本当に美しい。クレイドル山はオーストラリアのハイカーの憧れの場所である。

今日の宿はモイナという村から山に入った、本当に山の中の一軒屋!ロッジ風のつくりがすごく感じのいい宿だった。

部屋はコテージタイプと、レストランのある棟の2階部分にあるホテルタイプと2種類ある。我々の部屋はコテージタイプで、部屋には暖炉があった。

宿のまわりにも森がひろがる。宿からは初心者から玄人まで、長いものから短いものまで、いろんなトレッキングコースがあった。時間があったので、一番短い&簡単なコースを歩いてみた。途中でワラビーやエキドナが出てきて、うれしいびっくりだった!

夕飯はロッジのレストラン。これがまたまたびっくり!めちゃくちゃおいしいうえに、安い!ワインもいろいろおいてある。

夕飯のあとは、テラスでワラビーの餌付けが体験できる。我々には小さなカンガルー?!にしか見えないのだけれど、いろんな種類があって、名前も違うのだ。ピンキーというのは、ちょっと大きめで、確かに毛の色も灰色+ピンクがかっている。おなかの袋に子供がいた。なんて!かわいいの〜!

このロッジは本当に本当によかった。だれにも教えたくないぞ!(なんちゃって!)

 

第7日目
山の朝は本当に気持ちがいい。朝ご飯もまたすばらしい内容で(ちょっと多かったが…)このロッジには絶対にもう1回くるぞ!と固く決心。

ご愛嬌は、朝ご飯を食べて部屋に戻ると、夫が「なんかぱさぱさするんだけど、なんか着いてない?!」と背中を向ける。見ると、手のひらほどもあるでっかい蜘蛛が夫の背中についている。さすがの私もその大きさにびっくり!あわてて払い落とした。さすがに山の中である?!

さてさて、今日は東海岸に向かって走る。クレイドル山に後ろ髪引かれる思いだったが、絶対にまた来よう!と誓って出発する。

小さい町をたくさん抜けて、東海岸に出た。東海岸は西海岸と違い、気候も温暖で、ワインの産地でもある。

海の色が独特な白青緑である。砂浜が真っ白で、海岸線に続く小さなビーチが本当に美しい。

今日はスウォンジーの街まで行く予定。途中、フレイシネット半島はこれまた国立公園になっている。でも、時間が遅かったので、国立公園の中まではいけなかったのが残念…

途中、偶然フレイシネット・ワイナリーの看板を見つけた。このワイナリーはタスマニアではかなり有名なワイナリーである。だめもとで入ってみると、ちゃんと試飲販売のコーナーがあって、数種類、飲ませてもらった。かなりいける、ピノノワールとタスマニアではめずらしいカベルネも作っている。ピノを2本とカベルネを1本購入した。

今日の宿はスウォンジーの町のホテル。ホテルといっても、我々が泊まるのは、別棟の長期滞在のヴァカンス客用のレンタルアパートだった。かなり立派なキッチンやダイニングスペースがついていた。

夕飯のためにホテルのレストランを予約しようとしたら、すでにいっぱい!とのことで、ルームサービスを頼むことにした。立派なダイニングスペースがあったので、そこで食べようと考えたのだ。いっしょに今日買ったワインを飲んでみる。なかなかいける!

食事のあと、海岸をずっと歩いた。きれいな巻貝がたくさん落ちていた。

 

第8日目
今日は南の端のポート・アーサーが最初の目的地。距離も短かったので、2時間かからずについた。

ポート・アーサーには、これまた監獄跡がある。しかし、それだけではなく、看守の家や見張り台、病院、教会などの跡も残っている。タスマニア州内でも大きな見所のひとつらしく、観光バスがたくさん来ていた。

敷地内にはカフェテリアもあって、我々もお昼を食べた。湾内の小クルーズもあり、ゆっくりと時間をかけて見学したので、全部見終わったら3時を過ぎていた。

今日の宿はホバートである。街に入ったすぐのところにあるホテルだった。元は織物工場だったそうで、その名も「ウールハウス」。

部屋はいろんなタイプがあるらしく、窓からちらっと見えた部屋はキッチンがついていた。我々の部屋はふつうのホテルタイプだったが、かなり広い。

この日はホバートのフード・フェスティバルの日で、港の倉庫のような建物に、いっぱい出店が出ていた。

ワイナリーのブースもあったので、いろいろ試飲させてもらって、またまた2本、買ってしまった。

シドニー、ホバート間のヨットレースの真っ最中で、ぞくぞくとヨットが入港してくる。1位のスウェーデンのヨットはとっくの昔に入港していたが…

ホバートは港のまわりの雰囲気がいい。港沿いにしゃれたレストランがたくさんある。ぶらぶら散歩してホテルに帰った。

 

第9日目
今日はいよいよ本土(?)にもどる。空港でレンタカーを返して、飛行機カウンターでチェックイン。テレビ画面に出ている出発予定を見ていると、なんとシドニー直行便がある(我々はメルボルン乗換え予定だった。)。

だめもとで、シドニー行きに乗れないか聞いてみた。すると、スタンバイしてて!といわれたので、ラウンジで待つ。

言われた時間に再びカウンターに行ってみると、なんと直行便に乗れるという!ラッキー!かなり安いチケットだったので、絶対無理だと思っていたのに!なんでも言ってみるものだ…

ホバート、シドニー間もかなり小さい飛行機。あまり需要がないんだろうか?!そうも思えないけど…

直行便に乗れたおかげで、シドニーには予定よりもかなり早く着いた(あたりまえか?!)。

シドニーの宿は大奮発(なんといっても世紀末だからね!)のインターコンチネンタル・シドニー。部屋はかなり高層階でちょっとだけれど、シドニー湾が見える。

この日は夕飯をウェスチン・シドニーまで食べに行った。ウェスチンのモザイクは本当に気に入っているのだ。

 

第10日目
今日は一日なんの予定も入れていなかったので、歩いて、オーストラリア博物館へ行った。

特別展示はなんと!夫の好きな恐竜もの。かな〜リ時間をかけて見て、一般展示も全部見たら、疲れてしまった。でもこの博物館は本当におもしろかった。アボリジニに関する展示も詳しくて、前回シドニーに来たときに見られなかったので、大満足だった。

このあと、人でごったがえすジョージ通りを歩いて、ロックスまで行った。ロックスも市が出ていて、ひとの山!だった。

大晦日の夜、シドニー湾では花火が上がるので、ロックスのまわりはすでに交通規制も始まって、場所取りの人々でごった返している。出かけに、ホテルの部屋から見たら、オペラハウスやミス・マッコーリーズ・ポイントのあたりも、すでに人で埋まっていたし…

最後にオーストラリアワインセンターに寄って、ホテルにもどる。

夕飯は部屋でルームサービスを取った。オーストラリアワインセンターで買った、世にも珍しい赤シャンパンで今世紀最後の宴である。

9時には花火もあがって、気分は最高。海外に住んでいたときをのぞけば、初めての海外年越し、しかも世紀末である。ちょっと感慨深い。

来年もいい年になりますように!

 

第11日目
今日は元旦だというのに、ブルーマウンテンへの一日ツアーに参加する。

でも元旦というのが、やはり問題だった。なんとホテルのまわりは元旦のパレードのせいで、交通規制されており、ツアーの送迎バスが来られないというのだ。しかたがないので、ロックスのツアーオフィスまで歩いていって、違う場所を指示してもらって、無事にツアーのバスに乗った。

ブルーマウンテンは昨年の世界遺産会議で世界遺産に指定されたばかり。

ブルーマウンテンからシドニーに通勤しているひともいるそうで、そんなに遠くない。確かに1時間くらいでついた。

ここもオーストラリアには珍しい温帯の森のある山である。タスマニアにちょっと似ている。

ケーブルカーやらロープウェイやら、いろいろアトラクションがある。元旦にもかかわらず、かなりひとが来ていた。

ブルーマウンテンは山の形が独特でおもしろい。森も思ったよりもずっと深そうだ。

帰りに、シドニーオリンピックの会場に寄る。テレビで見ていた歓声が嘘のようにし〜んとして、人っ子一人いない。なんだか拍子抜け?!

会場近くの船着場からシドニー行きの船に乗る。これでツアーは終わり。かなり充実した内容のツアーだった。最後の船も楽しかったし…

夕飯はロックスのイタリア料理の店で軽く食べた。元旦なので、特別料金を取られて、思ったよりも高かった。

明日はいよいよ日本に帰る。

 

最終日
空港までタクシーで行く。なんと!空港まで鉄道も出来ていたということにあとで気づく。次回はぜひ、利用してみよう!

飛行機は直行便のはずが、なぜかブリスベーンに寄航。日本到着がかなり遅れた。乗り継ぎのあったひとはどうなったんだろう??!我々も、上がったり降りたりで疲れた…

 

最後に
何がよかった?!もちろんタスマニアである!感動した!(小泉のまねでは断じてない!私のほうがはるか昔から使っているフレーズである!)

絶対にもう一回行きたい!今回は初めてだったので、かなり駆け足で島一周したが、次回はクレイドル山を中心に、ちょっと山歩きもしてみたい。そしてまた絶対に、あのロッジに泊まりたい!

行く前に考えたよりもはるかによかったタスマニア…世の中、本当にひろい!

最後に、ちょっと悲しかったのは、フィルム5本も撮った写真が、カメラの故障でほとんど撮れてなかったということ。でもいつも写真のまずさにがっかりするし、後でほとんど見ないので、実害はないに等しい。ただ、ここに載せる写真もないということだけど…(すみません…)